

サービスマニュアル千夜一夜・・・サービス事例アラカルト【146】
技術委員会サービスワーキンググループ
事 故 例 「冷凍施設の事故についての考察」
- 冷凍施設の事故
日設連機関誌「冷凍空調設備」の平成11年5月号から毎年、「冷凍空調施設の事故」を掲載してきた。
ちなみに平成20年の事故レポートは平成21年6月・7月号である。
このレポートは高圧ガス取締法が施行された昭和26年から冷凍・空調に係わる事故を冷媒別・人的被害・事故発生個所・原因に分析して件数を表としてまとめてきた。この表を見ると事故発生件数は年10件以下で推移してきた。この一部を「冷凍事故の件数」としてピックアップしてまとめた。
これを見ると昭和26年から平成16年までの54年間の年平均では8.8件(アンモニア8.22件、フロン0.57件)であり、フロンの事故は殆ど報告されていなかった。
しかし、平成17年から表に示すようにフロン(フルオロカーボン:R系と記す)の事故が増加しているのが、気に掛かっている。この最近4年間の事故は年平均27.75件(アンモニア8.5件、R系19.25件)となっており、アンモニアの発生件数に変化なく推移しているが、R系は33倍に増加している。
設備の使用者は自主保安に心掛けており、日常点検を実施しているにもかかわらず、事故が増加した。
そこでなぜかを考察してみた。
冷凍事故の件数
| 年 度 |
事故数 |
アンモニア |
R 系 |
| S26〜H16 |
475 |
444 |
31 |
| 上記年平均 |
8.80 |
8.22 |
0.57 |
| H17 |
15 |
7 |
8 |
| H18 |
18 |
8 |
10 |
| H19 |
34 |
12 |
22 |
| H20 |
44 |
7 |
37 |
| H17〜20の合計 |
111 |
34 |
77 |
| 上記年平均 |
27.75 |
8.50 |
19.25 |
注1:S=昭和、H=平成の略
注2:アンモニア=アンモニア冷媒の事故数
注3:R系=フルオロカーボン冷媒の事故数
- 高圧ガス保安法による規制
この保安法では冷凍能力によって次のような規制がある。
冷凍能力20トン/日(不活性ガスのフルオロカーボン及びアンモニアにあっては50トン/日)以上の高圧ガス製造では都道府県知事の許可が必要である。また、3トン/日以上20トン/日未満(フルオロカーボンでは20トン/日以上50トン・日未満・不活性以外のフルオロカーボン及びアンモニアにあっては5トン/日以上50トン/日未満)の高圧ガスの製造は都道府県知事に届出を提出し受理されなければならない。
このことをわかりやすく表にしたものが、日設連発行「高圧ガス保安法―諸手続きの手引き―:以下手引きと略す」の10頁に「冷媒ガス種別規制体系一覧」の表が記載されている。表は第1グループ「フルオロカーボン(不活性ガス)」、第2グループ「フルオロカーボン(不活性ガス以外のガス)・アンモニア」、第3グループ「その他のガス」に分けて記載されているので、参考にされたい。
なお、届出は許可とは異なり、冷凍能力が小さいため、これを怠っている例が事故報告によって発見され、県当局から指導を受けていることが報告されている。
これは事業者よりも施工業者の不勉強によるものと思われる。この届書の作成は通常、施工業者が代行作成し、事業者が届けるか、施工業者が事業者の依頼で代行して届けているのが一般的である。
さて、この届出書の作成については前記「手引き」書の第6章第二種製造届の項に、届出の様式、記入の方法と手続きの方法などが詳しく記されているので、是非、参考にして施主と共に届けを怠ることなく行なっていただきたい。
- 事故報告についての考察
前記1.で、ここ数年のR系事故の発生の状況について記したが、事故の内容を検討してみると「事故報告の遅れ」による県当局からの指導を受けた事例がいくつか見られた。
これについて法規では次のように規定されている。
高圧ガス保安法第63条(抜粋)第1種・第2種製造者、販売者、高圧ガスを取り扱う者は次の場合、遅滞無く、その旨を都道府県知事又は警察署に届け出なければならない。
1.その所有し、または占有する高圧ガスについて災害を発生したとき。
2.その所有し、または占有する高圧ガス又は容器を喪失し、又は盗難されたとき。
冷凍保安規則第68条(抜粋)事故届けをしようとする者は、様式第46の事故届けを事故の発生した場所を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。
様式第46の事故届書の内容は
1.事業所名 2.事業所の所在地 3.事故発生の年月日 4.事故発生の場所 5.事故の状況
◎ガスの種類 ◎事故の状況 ◎被害の程度 事故の原因 ◎事故の対処措置
◎事故の場所の図面・写真 ◎事後の対策
この規定では「災害の発生」及び「高圧ガスの喪失」とされているが、どのような場合やどの程度のガス漏れを災害と解釈するのだろう。日常点検で発見した漏れを手直しして漏れを止めたのも災害なのだろうか。
現在では地球温暖化対策などから僅かなガス漏れでも環境破壊として届出が必要とされているのだろうか。
これを「フロン回収・破壊法」で調べてみると、第38条に「何人もみだりに特定製品に冷媒として充填されているフロン類を大気中に放出してはならない」と規定されているのみで、漏れによる届出の規定はない。
事故届けのうち、これが事故かと思えるものをいくつか次に示す。
- 発生場所 東京都 冷媒 R22 冷凍能力 239トン 許可年 昭和62年
日常点検中、冷却器のディストリビュータ管にピンホールが見られ、漏れ部をろう付けで補修した。
- 発生場所 東京都 冷媒 R22 冷凍能力 41.8トン 届出年 平成3年
休止中の圧力計の指示が0MPaとなっていたので、チェックをしたところ膨張弁手前の電磁弁のパッキンが経年劣化していたので、交換して復旧した。
- 発生場所 岐阜県 冷媒 R134a 冷凍能力 27.5トン 届出年 平成19年
3台の冷凍機のうちの1台が他機より圧力が低かったので、テストしたところ、四方弁のユニオン接ぎ手から漏れていたので増し締めした。
これらは前述の法で定められた災害または高圧ガスの喪失に当たるのだろうか、疑問に思われる。このような報告が10数件(NH3 1件 R22 約10件 R134a 5件 R404A 1件)あった。
この辺が当局の指導や事業者のコンプライアンスによる考え方で届出がされているのだろうか。現象だけに止まらず、数値を示すべきであろう。やはり、一つの判断基準としての漏洩量がどの程度からが事故なのかの指針が欲しいものである。
漏洩点検のガイドブックが作成されているとも聞いているので、これに冷媒漏れを報告すべきレベルの数値が入っていることを期待したい。
冷凍装置は事故を起こせば危害は大きくなる恐れがあるので、取扱者には保安知識を充分持つように勉強させるべきである、と繰り返し述べてきた。私は以前から「フロンに臭いがあったら毎日事故だらけ」とも言ってきたが、この事故状況を見るとこれに近いように思われ、是非、事故報告すべき指針が示されることと共に関係者の保安教育の重要性に思いをいたし「事故0」を目指して安全運転の保守をお願いしたい。
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